その後暴走した日本(イギリス)はイギリス(日本)が繰り出した華麗な一本背負いによって床に叩きつけられ我に返った、日本(イギリス)を元に戻すのに何も一本背負いをする必要はないのだがイギリス(日本)曰く、自分がイギリスを止めようと肩を掴んだ時己の顔で自分に向かって凄まれたことに腹が立ったらしい、イギリスは後ろから肩を掴まれた為相手を確認せずにフランスに向けている顔のまま振りかえっただけなのだがそれが災いしたようだ。床に叩きつけられたことにより強く頭を打った日本(イギリス)はショックでいつもの調子を取り戻し痛みの所為か涙目になってイギリス(日本)に向かって叫ぶ
「日本、何すんだよ!!」
言ってから日本(イギリス)は・・・あ、しまった、という風な表情をしたがそもそも気付くのが遅すぎる、裏拳を叩き込み『イギリス』の口調でフランスを罵った時点で互いが互いの振りをするという約束は破っているのだし勘の鋭いロシアは何となく二人に起こったことを悟り、一部を除く国もこれは流石におかしいと時勘づいている、時既に遅し。空気の読めないアメリカやイタリア、混乱していた中国でさえも先程の日本(イギリス)の言葉で何かピンとくるものがあった様子だ、各国からの視線が島国に集中する、問い詰められても言い逃れが出来ない状態で一番初めに口火を切ったのはロシアだった
「ふふ、二人ともどういうことか説明してくれるよね?」
至極楽しそうな表情で彼の雪国は笑った
**********
最早これまでとイギリスの振りを止めた日本は本来の自分の口調で事のあらましを各国に説明する、伏し目のイギリスが敬語を駆使して冷静に話をする姿は各国に少なくはない違和感を齎しながら続けられる
「・・・という訳でして・・・」
「なるほどな、だから二人の様子がおかしかったという訳か」
「ヴェー、本当に日本なの・・・?」
イギリス(日本)の説明が終わりその言葉に納得したドイツとは対照的にイタリアは先程の日本(イギリス)の行動を差し引いても二人が入れ替わっていることには半信半疑の様子だった。それは一重に例の酒場での乱闘事件記憶がそうさせているのだろうなと日本(イギリス)は思った
「んー、お兄さんも俄かには信じられないな・・・」
ドM状態から立ち直ったフランスがイギリス(日本)の顔をまじまじと眺めながら呟く、被害を受けた当の本人であるに関わらずそれまでの日本の演技が巧過ぎた為彼もまた二人が入れ替わっていることを完全には信じられないでいた
「じゃあ、今から俺がイギリス、じゃなくて日本に何個か質問するからそれに答えてくれる?その答え次第で信じるか信じないか決めさせて貰うわ」
「ええ、私は一向に構いませんよ」
「・・・その口調やっぱりすごい違和感あるな」
苦笑いのフランスはよし、んじゃ行くよとイギリス(日本)に声を掛け質問を始めた
「貧乳は?」
「ステータス!」
「かわいいは?」
「正義!」
「病院が?」
「来い!」
「イギリスは受け攻め?」
「総受け!!」
フランスの言葉に対しイギリス(日本)は間髪置かずに次々と答えていく、そんな中日本(イギリス)は自分の名前が出てきた質問が気になり。なあ、ソウウケって何だ?と隣に居るアメリカに質問するがアメリカは知らなくて良いこともあるんだぞ、と珍しく空気を読んで問いに答えることはなかった、数日後気になったイギリスはパソコンを使い言葉の意味を調べるのだがその時調べてしまったことを物凄く後悔する羽目になることを今はまだ知らない。フランスとイギリスの奇妙な問答はそれから少し続き最後の質問を終えた所でフランスは確信した
「疑って悪かった、お前は正真正銘日本だ」
「ふふ我が同士、お分かり頂けたようで何よりです」
ガシイ、と熱く両手同士をがっちり組んで二人は見つめ合う、イタリアの方も二人の遣り取りはいつものフランスと日本がしているものと同じだった為今目の前に居るイギリスの意識は日本であるのだとなんとなく納得していた
各国に知られた以上互いの振りをする必要もなくなりそれから二人はいつもの自分のように振る舞う、入れ替わりという稀有な事態に陥っている二人は各国に好奇心の矛先を向けられ、それから料亭の予約時間になるまでイギリス(日本)と日本(イギリス)は各国に色々質問されたり、からかわれたりで揉みくちゃになったのであった
**********
そして定時となり一行は現在日本のとある料亭の大広間で世界会議の打ち上げをしていた、イギリス(日本)はと言えば開催国ということもあり各国に酌をしたり酔っ払いの世話をしたりとあちこち駆け回っている、はい、どうぞ、世界会議お疲れ様でした。と涼しげに目元を細めイギリスが各国に酌をする姿は今だ嘗て無い光景を作り出している、物腰穏やかな言動のイギリス(日本)は似非紳士である本人よりもよっぽど紳士らしく見える、もういっそのことこのまま日本がイギリスと過ごした方が良いのではないだろうかとアメリカとフランスは思った
「でも違和感はんぱないんだぞ」
「イギリスがきらきらして見える・・・中身が違えば雰囲気もあんなに変わるもんなんだなあ」
「おい、髭こら、勝手に見てんじゃねえよ」
「はいはい・・・というかお前はさっきから飲み過ぎ、もう少し控えろって」
「ああ、返せ馬鹿!!」
意識が日本のイギリスが常よりも大人びているように見えるのと対照的に意識がイギリスの日本は常よりも子供っぽい、普段は打ち上げの場でも世話役に回り嗜む程度に酒を飲み涼しげな美貌を崩さない日本だが現在の日本、いや日本の姿をしたイギリスは酒で頬を淡く染め、机の上で組んだ腕に顎をちょこんと乗せている状態だ、いつもの日本であれば老成した雰囲気が年齢を分からなくさせているがイギリスにそんな雰囲気は皆無であり、童顔とやや乱暴な言動が相まってその姿を酷く幼いものとして見せている、今の日本であれば確実にここに居る誰よりも幼く見えるだろう
「確かに中身が違うと面白い位雰囲気変わるんだぞ・・・」
日本(イギリス)の状態を見て先程のフランスの言葉をアメリカが肯定した。
それから日本(イギリス)はフランスに奪われたグラスを奪い返しまたそれをこくりと一口喉奥へと流し込みイギリス(日本)へと視線を移す、イギリス(日本)は相変わらず忙しいそうに各国の元へ行ったり来たりしている状態だ、自分が声をかけても邪魔にしかならない、日本は悪く無いのだがそんな奴らよりもっと俺に構えよと思いつつも口に出す訳にはいかなくてやり場のない思いを抱えた日本(イギリス)は八つ当たりのように酒を飲む、フランスの注意などどこ吹く風である。
そのまま打ち上げが終わるまで一切会話も何もできない状態かと日本(イギリス)は考えていたが予期せぬ所で日本(イギリス)はイギリス(日本)に構われることになる、それはいつの間にか打ち上げに参加していたプロイセンの一言から始まった
「なあ、おい、王様ゲームやろうぜ!!」
どうしてそれをやろうと思ったのかは分からないが基本皆楽しいことが好きなのでその提案が却下される訳がなく皆酒で上がったテンションのまま王様ゲームに興じることになる、既に酒で潰れて眠っている国は除外だがその他の国は強制参加との事で動き回っていたイギリス(日本)も一度足を休めゲームに参加することになった、いつの間に用意していたのかプロイセンは人数分の割りばしを手に持ち各国にその先端を持つよう促し皆が割りばしをもった事を確認すると、王様だーれだ!!と御馴染の掛け声を言いゲームは始まった、一番初めに王様になったのはスペインで彼の命令によってプロイセンはオーストリアとポッキーゲームをする事になり大いに場を盛り上げた、次に王様になったのはアメリカで運が無いのかまたしても番号を指名されたプロイセンとドイツは兄弟揃って自分の名前を尻文字で書かされることになり各国の腹筋を破壊しつくした、その余韻冷めやらぬ中三回目のゲームで王様になったのはフランスだ、この時点で日本(イギリス)は何か嫌な予感がしていた、酒の席での王様ゲームは通常ならばあり得ないことでもなんでも命令出来てしまうのだフランスが普通の命令を出すわけがない、そして自分とこいつは何かと縁が出来てしまう腐れ縁だ、日本(イギリス)は自分の思惑が外れることを祈りフランスの言葉を待つ、当の本人は巡って来た王様役にによんと口元を緩めて高らかに言った
「よしじゃあここは愛の国らしく・・・1番の奴が5番の奴に甘い口説き文句言った後キスってどうよ」
あ、勿論キスは口にだからね、とフランスは付け加えた
そうフランスとイギリスは腐れ縁である、それはこんなゲームの中でも有効らしい、恐る恐る自分の割りばしを見た日本(イギリス)はそこに5と書かれているのを見た瞬間叫んだ、嫌な予感的中である
「っざけんじゃねえ!!なんて命令出しやがるフランス!!取り消せ!!今すぐ取り消せ!!」
「あれーってことはイギリスが5番か良かったなイギリス!」
「全然よくねえよ!!俺は嫌だからな!!」
王様ゲームに参加している国は運命のいたずらか全員男である、つまりイギリスは男に口説かれてキスされることが確定している、ざざざ、と日本(イギリス)の身体から血の気が引いた、意識は自分だがこの身体は恋人である日本のものだ、自分でもまだ数回しか触れたことのない尊いこの唇をどこのだれともしらない馬の骨に差し出すなど到底許せることではない、日本の身体そして意識は自分であるからショックは2倍だ、口説かれるのはまだいい、だが唇にキスだけはなんとか避けなければと日本(イギリス)は躍起になって叫び、そもそもこんな命令に真面目に付き合うことはないと反則だがこの場から逃げてやろうと腰を上げた所で両側から腕を掴まれる、右側にドイツ左側にプロイセン、二人は日本(イギリス)の腕をがっちり掴んで離さない
「おい、こらてめえら離せ!!」
「逃げるなんて感心しねえなイギリス」
「ルールはルールだ、逃亡は許さない」
日本(イギリス)の様子に気付いた二人はそうはさせるかと素早く日本(イギリス)の元へと行きしっかり逃走を阻止した、先程命令で罰ゲームまがいの事をさせられた二人だけに言葉に妙な威圧感がある、本来イタリアそして日本に甘い所のあるドイツだが中身がイギリスと分かっているので容赦がない、体格の良い二人と細身の日本、圧倒的な体格差と力の差を前にイギリスは完全に退路を断たれたのだがここで大人しく従うイギリスでは無い
「緊急事態だから仕方ねえだろ!離せ馬鹿!!」
「離すかよオーストリアとポッキゲームして尻文字書かされた俺の方がよっぽど緊急事態だったっての」
「観念するんだなイギリス」
「嫌だあああああああ!!!!」
「HAHAHA!君ってば本当運が無いねイギリス!あ、でもそういえば結局1番は誰になったんだい?」
アメリカの言葉で各国は周囲を見渡すその中で手を挙げた国が一人
「私です」
イギリス(日本)が1、と書かれた割りばしを持っているのを見て日本(イギリス)はおっしゃああ!!天は俺を見捨てちゃいなかったと心の中でガッツポーズをしたが果たしてこれは本当に良かったのだろうかとふと考える、だって流石に生殺しが過ぎやしないだろうか、意識したら終わりだと思い今まで必死に考えないようにしてきたが今の自分の状態でも十二分に生殺しの状態なのにそこに自分の姿とは言え日本から口説かれてキスだなんて、これは・・・かなり不味い。猛烈な勢いで日本(イギリス)の背に冷や汗が吹き出す、酒で理性がぐらつき始めた自分が日本から触れられて果たして最後まで耐えきれるのだろうか、いや落ち着け、大丈夫だ、だって今まで耐えてきたんだ、今さら崩壊するような理性じゃない、落ち着け、必死に言い聞かせる日本(イギリス)だが心臓はまるで早鐘のようにドクドクと脈打っている、日本(イギリス)が心中で必死に自分を落ち着かせていることを知らないドイツとプロイセンは急に大人しくなった日本(イギリス)を訝しみつつも腕を解放する、いつの間にか各国は日本(イギリス)とイギリス(日本)を中心に円を書くように周りに集まり二人の行動に注目している
「あ、もうしても構わないのですか?」
何でお前はこんな時にも冷静なんだと突っ込みたい気持ちを抑えて脈打つ心臓を持て余しながら日本(イギリス)はイギリス(日本)を見る、日本の言葉に周りに居る国々は囃したてるように口笛を吹いた、フランスがによによしながら頷いたのを見てイギリス(日本)は日本(イギリス)へと歩み寄った
2011.12.15
あとがき
(区切りが悪いかもしれませんが一端ここで区切ります)