どっちが好きなの?

「なあ、どうしてお前はこんなにも俺の心を掻き乱すんだ?」

金の髪に緑の目を持った男は椅子に座る想い人の手を恭しく取り跪く、その宝石のような瞳を苦しげに細めて彼は言った

「お前と話せた日は一日中微笑んでいられる、でもお前が他の奴話している所見ると駄目なんだそいつの首を締めてやりたくてたまらなくなる 可笑しいよな、こんな凶悪な感情海賊時代ですら抱いた事はなかったのに、いっそ俺だけしか知らない場所に閉じ込めて俺無しじゃ生きていけないような体にしてやろうと何回思った事か、でもそれじゃ駄目なんだ、俺が本当に望んでるものはそんな仄暗く独り善がりの愛じゃない」

真摯に語る男は乞うような視線を相手に投げかける

「お前の礼儀正しい所も流されやすい所も一つの物事に熱中し過ぎる所も、涼やかな流水のような声も、宵闇の髪も、真珠の肌も、お前を構成する全てが愛しい、出来るならその夜空のような瞳に俺だけを映して、好きだ、日本・・・」

甘い声でとろけそうな笑顔を浮かべてイギリスは日本に詠うように告白した、イギリスが言い終わるのと同時に今まで耐えていたフランスが噴き出し腹を抱えて笑い出す、アメリカは死んだ魚のような目で中空を見詰め、中国は汚物を見るような視線をイギリスに投げつけロシアは微笑んではいるものの纏う威圧感が普段とは桁違いだ、ドイツは額を押さえ日本の隣に座るイタリアは労わるように日本の肩をぽん、と叩く、当の本人はイギリスの言葉に赤くなったり青くなったり忙しかったが現在は諦めの境地に入ったのか、顔色は普段と変わらないがその瞳はどんよりとしていてイギリスが例えた夜空のような煌めきは皆無だった

「ぷはははははは!!イギリス、おま、最高だよ、お、お兄さん笑いすぎて、 く、くるしい、はははははは!!!!」
「俺、独立してて良かった・・・」
「あへん野郎がここまでだとは思わなかったあへん、不愉快あへん日本の手を離すあへん」
「ふふ、イギリス君面白いなあ、でもあの日本君の慌てふためく姿も面白かったなあ」
「はあ、いい加減会議を始めたいんだが・・・」
「・・・いっそ、殺せ」
「ヴェー!に、日本だめだめ絶対だめだよ、腹切りは止めてーー!!!」

日本がぼそりと呟いた言葉に反応してイタリアが泣きわめく、生憎ここには日本刀は無いがあったら間違いなく日本はその刀を腹に突き刺していそうだ、まあ勿論そんな事はさせないが、とドイツは思った

事の始まりは5分前、定期的に開かれている世界会議の為各国が会議場に集まり、定時になったので議会を始めようと議長であるドイツが発言しようとした時バンッ!と会議場のドアが開きイギリスが入って来た、遅刻を注意しようとドイツだったがドイツが口を開くよりも先にイギリスは日本の元へ駆け、そしてあの恥ずかしい台詞のオンパレードである、各国は呆気に取られていてイギリスが日本に愛の言葉を紡いでいる時止めに入る事を思いつきもしなかった、しんと静まった会議場で日本に告白するイギリス、前代未聞の光景である

「どうしたんだ日本?辛そうだ・・・」

日本の様子がおかしい事に今更気付いたイギリスが手を伸ばし頬をするりと撫でる

「お前がそんな顔をしていると俺も辛い、どうかいつものように花がほころんだような笑顔を見せてくれ」

その言葉にまたしてもフランスが爆笑する、腹を抱えて笑うフランスを日本は恨めしげにちらりと見るとその視線に気づいた フランスは大きく咳払いをし何とか笑いを収めた

(そろそろ助けてあげないと日本がかわいそうだしね)

日本に向かってフランスはパチリとウインクをしてイギリス回収に向かう、イギリスのおかしな言動は大概酒が原因だ、だから多分今回もそれが原因だろう、でも何故イギリスは会議前なのにも関わらず酒を飲んでたんだ、と疑問に思いながらもフランスは前代未聞の光景を作りだした元凶の肩を叩く

「その辺にしとけよイギリス、日本がお前の所為で困ってるだろ?」

お前に非があるのだとはっきり言えばイギリスははっ、としたようでその立派な眉をハの字にした

「日本、すまない、俺の所為でそんな顔をさせてしまった」

日本相手だと物分かりと聞きわけが良いイギリスに苦笑いしながらフランスは内心これでこの件は一段落かとため息をついたが次のイギリスの言葉でその考えを改める

「お前は恥ずかしがり屋で色恋沙汰が苦手だと言うのは分かってる、でもすまない、お前への気持ちを抑える事が出来なかったんだ、どうか許して欲しい、日本・・・」

ちゅ・・・

可愛らしい音を立ててイギリスは日本の手の甲に口付ける、駄目だこいつ全然分かってない!フランスがそう思ったのと同時に日本からブチリと不穏な音が聞こえた

「に、にほ「ああああああああ!!!何なんですか私に何か恨みでもあるんですか貴方は!!!」

立ち上がった日本は跪くイギリスの襟首をガッと掴み自分と同じ目線になるまで引き上げへたすれば唇が付きそうな至近距離でイギリスに詰め寄る

「恥ずかしがり屋!!色恋沙汰が苦手!!知っているなら何故あんな言葉を私に向かって言ったんですか!!!そんなに私が取り乱す所が見たかったんですか性質が悪い!!!大体貴方今酔っているでしょう!!何で会議前にお酒飲むんですか非常識にも程があります、百歩譲って会議前に飲むのは良しとしても非常識な言動をしない程度に飲みなさい!!!分かったらもうさっさと帰って酔いでも醒ませ!!!」

滅多に声を荒げない日本の大声に各国が唖然とする中、イギリスだけはきょとん、としていた

「日本一つ言っておくが俺は酒なんて一滴たりとも飲んでないぞ」
「はあ・・・酔っ払いがよく言う言葉ですね、そういう人に限って酔っぱらってるものなんですよ、自覚が無いだけで!」
「本当に飲んでない、俺から酒の匂いするか?」

日本はイギリスの奇怪な言動の原因は酒を飲んだ所為だと考えていたのでその言葉にじとりと疑う様な眼差しを向けた後、失礼します、と言い襟首を掴んだ体勢のままイギリスの胸に顔を寄せすんすん、と香りを嗅ぐ、イギリスからは予想外な事に薔薇と紅茶の香りはすれども酒の香りは一切せず日本は驚愕する

「え、そん、な・・・!」
「え、マジなの日本!?」

フランスの問い掛けに日本が頷きフランスが目を見開いた

「てことは何イギリスってば素面であんなくっさい台詞を日本に言った訳!?」
「くさい?思った事をそのまま言っただけだぞ?」
「・・・あーこりゃ重症だわ」

お手上げだと両手を上げたフランスはふと思った、自分は今明らかにイギリスを馬鹿にするような言葉を言った筈なのにイギリスはいつものように、んだとこのワイン野郎!と自分に殴りかかったり元ヤン丸出しの口調に戻ったりせずに普通に言葉を返した、腐れ縁で長年付き合っているだけにその行動には酷く違和感が付き纏う、これはイギリスの奇行と何か関係がありそうだ、けれど一回だけじゃたまたま偶然奇跡的に虫の居所が良くて自分の嫌味がスル―された可能性がある、フランスは取り敢えずいつものイギリスなら自分に掴みかかってくるであろう言葉を言ってみる事にした

「ん?何か言ったかフランス」

先程フランスが言った言葉を聞き取れなかったイギリスが首を傾げる、フランスはそんなイギリスに向かってによん、と口角を上げ思いついた言葉を投げつける

「ああ言ったぜイギリス、お前センス無さ過ぎ俺なら例え気がおかしくなったとしても場所と時も弁えずにあんな寒い台詞を言ったりしないね」

言った瞬間イギリスの表情が変わり、フランスから冷や汗が噴き出す、というか俺自分からイギリスにぼこられるような台詞言うとかそれなんてドM、心の中でそう考えフランスは次に来る衝撃に備え身を固くする、しかしイギリスが攻撃して来る様子はない

「確かにお前の言う通りだな、俺の所為で日本に迷惑をかけてしまった、すまない・・・」
「うわああああ!!!イギリスが気持ち悪い!!!」

フランスが全身を悪寒が襲う、イギリスの予想外の反応にフランスが叫びイギリスとフランスの普段の姿を知っているだけに他国もざわつき始めた

「お前本当にどうしちゃったの!?いつものお前はもっと俺に対して辛辣でえげつなくてツンデレのデレの欠片も無いような奴だろ!?何これデレ!?イギリスのデレ!?ごめんお兄さんツンデレは好物だけどお前以外の話だから、お前のデレとかマジ勘弁!」
「フランス・・・お前大丈夫か?」
「イギリスが俺の心配したぁああぁぁ!!!寧ろお前が大丈夫か!?!?」
「?・・・俺は大丈夫だぞ?」

二人が言い合いをしている最中に会議場のドアが勢いよく開かれる、コツコツと足音を響かせて入って来たのは騒ぎの元凶である国と瓜二つの顔をしていた

「え・・・イギリスさんが二人!?」

呟く日本に気付いたイギリスらしき人物はその姿を視界に入れるなりチッ、と舌打ちし眉間に思いっきり皺を寄せる

「相変わらずイラつく顔してるなお前、俺の視界に入ってくんじゃねえよ」
「な!?え、イギリス、さん?」
「アァ!?気安く呼ぶな極東の猿が」

入ってくるなり何故か喧嘩腰のイギリスは日本の手を掴みギリリ、とそこを握り締める

「ッ!!」

日本が痛みに目を閉じたのと同時にもう一人のイギリスが日本の手を掴むイギリスに向かって懐から取り出した銃を撃つ、撃たれるのを悟ったイギリスは日本から距離を取るので結果日本は解放される、銃を撃った方のイギリスはすかさず日本の方へ走り寄りその体に傷が無いか確かめる、この一部始終を見ていた各国だったが誰もイギリスが銃を所持している事について驚かなかった、幻覚を見たり魔術が使えたりするイギリスだ、銃を持っていた所で別段不思議な事ではないというのが満場一致の意見だった

「大丈夫か日本!?」

イギリスが日本に断ってそのスーツを捲ると腕には握り締められた時出来たであろう赤い跡があった、その跡を見た瞬間イギリスは辛そうに眉根を顰め、赤い跡を労わるように擦る

「日本、すまない、俺の所為でお前の真珠のような肌に跡が」
「イギリスさんその表現止めて下さい、それよりも状況を説明して頂けると有難いのですが」
「ああ、実はな・・・」

イギリスが言うにはこの所次々に仕事が立て込んで来て明日までに提出しなければならない書類もいくつかあったらしい、だが今日は世界会議が開かれる日なので絶対にそれには出席しなければならない、だが書類も作成しないわけにはいかない困り果てたイギリスが思いついたのは得意の魔術を使い自分を二人に分けるという突拍子もないものだった、自分が二人居れば片方が世界会議に出席しもう片方が書類を作成すれば完璧だ何故自分はもっと早く気付かなかったのかと思いイギリスは速攻自分に魔術をかけ二人に分裂した、しかしもう一人のイギリスは全く言う事を聞かず挙句の果てには自分を迎えに来たハワードに乱暴を働く始末、仕方なしにイギリスは自分の片割れを魔術で拘束してここに来たらしい

「・・・もうどこから突っ込んでいいの俺」
「英国の文化は複雑怪奇ですね・・・」

イギリスの話について行けなかった二国を差し置いてイギリス同士は睨み合い険悪な雰囲気を醸し出す

「まさかあの強固な魔力の檻を破るなんてな」
「ハッ!俺を誰だと思ってるんだイギリス?」

日本を庇う様に立つイギリスは冷静な態度なのに対しもう片方のイギリスは大げさに肩を竦め嘲笑を浮かべる

「お前は俺だから俺が出来る事はお前も出来ると言いたいのか?違うなお前は俺じゃない、俺はハワードやましてや日本にあんな事はしない」
「ああそうかもな、どうやら俺達は同じ国が分裂したにしては言動が違い過ぎる」
「俺・・いや俺達が使った魔術が失敗したって事か?」
「それしか考えられねえだろ、ったくややこしい事に巻き込みやがって」
「お前もその一端を担ってるんだ、被害者ぶるなよ」

元は同じ筈なのにイギリスともう一人のイギリスは馬が合わなそうだ、傍から見ていた日本とフランスは思った、そこでふと日本は考える、目の前で自分を庇うように立つイギリスは自分に過剰に好意的でフランスに対して普段は何かにつけて噛み付くのに今日は全くそんな素振りを見せない、そして何より違和感を持つのはイギリスがフランスと話していた時に言った『思った事をそのまま言っただけだぞ』という台詞だ、日本はイギリスは自分の思った事と反対の事を言ってしまう所謂ツンデレな性格だと理解している、そのイギリスが思った事をそのまま素直に口に出すのはどう考えてもおかしい、この違和感の根本はきっとこの素直さにあるのだと直感的に日本は思った、目の前のイギリスはまるで元のイギリスからツンデレのツンを取ってしまった様な状態だ、事実二人は自分を分裂させる魔術は失敗したのだと言っていた、だとしたら分離する際にツンデレのデレの部分だけがこのイギリスに残ってしまったという事もあり得るのではないだろうか、そう考えなければ今のイギリスの説明が付かない、日本はそこまで考えてふと視線を機嫌の悪そうなイギリスに向けると相手はすぐに日本の視線に気づきまた眉間に皺を寄せた後ふい、と顔を反らす

(目の前のイギリスさんに元のイギリスさんの『デレ』の部分だけが残ってしまったと考えるなら、あちらのイギリスさんは『ツン』の部分だけ残されていると考えても良さそうですね)

言動が正反対な二人を見て日本は思った

「おーい日本ー?」

思考の海に沈んでピクリとも動かなくなった日本を心配してフランスが声をかけると日本は呼び掛けられた事に少し驚いた様で肩をびくりと一瞬揺らしてフランスの方を見た

「あ、フランスさん」
「日本いきなり動かなくなったからお兄さんちょっとびっくりしちゃったよ」
「すみません考え事をしていたもので」
「もしかしてイギリスの事?何か分かった?」
「ええ、と、その、これは推測でしかないのですが・・・」

かくかくしかじか、と日本はフランスに先程の考えを述べる

「つまりこの目の前に居るイギリスはデレデレな状態で向こうのイギリスはツンツンってこと?」
「まああくまでも私の推測に過ぎませんが」
「でもそう考えれば色々辻褄が合うしね、俺も日本の考えに賛成だよ、はー、っとにこいつは何やってんだか」

額に手を当てやれやれという風にフランスは頭を振り二人を見遣った、イギリス同士は相変わらずピリピリとした雰囲気で会話をしている

「大体お前、何しにここに来たんだよ・・・」
「別に何でも良いだろ?一々詮索するなよ」
「詮索したくもなるさ、お前が何をするか分かったものじゃないからな、首輪でも付けて鎖で繋いでおきたい位だ」
「ハッ!やってみるか?どうせ無駄だけどな」
「そうか?さっきは一応手加減しておいたが今度は容赦しないぞ、こっちには武器もある幾らお前でも体中の間接に鉛玉ブチ込まれたら抵抗出来ないだろ、それなら鎖に繋いで犬扱いも簡単に出来るぞ?そうだ何なら今すぐやってやろうか」
「んだとこら!!」

まるで今日は良い天気だなと話し掛ける時のように平然とエグイ事を言い放つイギリスに後ろに居た日本とフランスが顔を青くする、いきなり日本の手を引っ掴んできたイギリスよりは冷静で穏やかそうに見えたがしっかりと元ヤン時代の名残はあるらしい

「冗談だ、もうとにかくお前は帰れ、会議に二人イギリスが居ても意味無いだろ」
「何で俺がお前に命令されなきゃなんねえんだ?俺は俺の好きにさせて貰う」

埒が明かない言い合いに終止符を打ったのはハンバーガーをもぐもぐ食べているアメリカだった

「さっきからぶつぶつ何言ってるんだい君達、揉めるなら二人とも会議に出ちゃえば良いじゃないか!!」
「ア、アメリカさんそれはちょっと・・・」
「それ良いな、目の届く所にこいつが居た方が俺も安心出来る」

それに対してツンの方のイギリスさんは何も言わなかった、何も言わないと言う事を了承ととったデレの方のイギリスさんは自分の隣に座席をもう一つ用意させそこに片割れを座らせる、私はイギリスさん二人が会議に参加すると絶対に碌な事にならないと思って反対するつもりだったのだが各国はその事について何も言及してこなかったのでもしかして私の考えが可笑しいのかもしれないと思い口に出す事は出来なかった、だが予定より大幅に遅れた会議は案の定二人のイギリスさんによって滅茶苦茶になった、会議を始めたものの二人の口論は絶えずツンの方のイギリスさんが大人しく座っていられたのはものの5分程度だった、後はもう銃弾が飛び交い会議室がぐちゃぐちゃになり難を逃れるためにほとんどの国は退避、残った国はイギリスさん達の暴動を止めるために必死だった、おかげで世界会議は後日に延期イギリスさん達はぐちゃぐちゃになった会議室やその他もろもろ備品の修繕費用を請求される事となり今回の世界会議は幕を閉じた、が

「おい、そこの女顔!!」

ツンの方のイギリスさんが誰かを呼んでいるようだったが私ではないだろうと判断して私は今日見たいアニメがあったのでそそくさと帰り仕度をして会議室を出る、いや出ようとしたが右手をぐい、と引かれてバランスを崩し私はその場に倒れ込みそうになってしまう、床と接触した時の衝撃を思い身を固くするが訪れた衝撃は大した事はなく体は何か堅い物に支えられている、それを確かめる為恐る恐る目を開くとそこにあったのはドアップの鎖骨で視線を上に上げるとそこには不機嫌な表情をしたイギリスさんが居た

「呼んだのに無視するとは良い度胸だな」
「な、イギリスさん!?」

堅いものはツンの方のイギリスさんの胸板で、私は彼の胸に抱きつくような体勢になっていて酷く驚いた、慌てて体を離そうとするがツンの方のイギリスさんは何故か私の右手を離そうとしない

「何で逃げようとすんだよ」
「いや、あの・・・この体勢はちょっと、といよりイギリスさん私が視界に入るのが嫌なのでしょう?なのに何故手を離してくれないんですか?」

そういうとイギリスさんは決まり悪そうに私から視線を外した、彼の行動の意図がよく分からない、気に食わない奴の事など放っておけば良いのにわざわざ自分から関わってくる、最初の時だってそうだ、私がじ、と彼の顔を見ていると視線に気づいたイギリスさんは眉間に皺を寄せ私を見降ろす

「うるせえな、なんでそんな事態々お前なんかに言わなきゃなんねえんだよ」
「は、はあ・・・」

どうにも話が進まない、これではアニメが終わってしまうそれだけはなんとしても避けたい私は意を決して呼びとめられた理由を尋ねる

「あの、それで私に何か用事ですか?」
「・・・ああ、この後俺の用事に付き合わせてやる、光栄に思え」
「・・・は!?」
「お前に拒否権は無い、黙って俺に従え」

何だこの横暴な物言いは呆れて物が言えなくなった私を了承したと勘違いしたのかイギリスさんは手を引いてどこぞへと連れて行こうとする、そうはさせるものかとその場で踏ん張れば有無を言わせぬ強い力で腕を引かれる

「おい何やってんだお前、日本が嫌がってるだろ?」
「チッ・・・来やがったか」
「その手を離せよ日本の華奢な腕が折れでもしたらどう責任取ってくれるんだ」
「いや、これくらいじゃ折れませんから」
「うるせえ奴だなお前はもう帰れよ会議も終わっただろ、俺はこいつに用がある」
「俺だって日本に用があるからお前の手を離せば良いんじゃないか?」
「後から来た癖に良いご身分だなあテメエ、こういうのは早いもん勝ちだろうが」
「いや早いも遅いも関係ない、行くか行かないか決めるのは日本の意思だからな」
「え・・・」
「なあ日本、お前はどっちが良いんだ?」

両方のイギリスが日本を見詰める、その視線に気押されながらも日本はどっちも嫌だと正直に言うべきか言わないべきか考えていた





2011.08.23





あとがき
(日本はああ言っていますが完全にツンとデレが分離した訳ではないです、正確に言うとツンの方のイギリスはツン9割デレ1割、デレの方のイギリスはデレ9割ツン1割位です)