「服を脱げ」
一瞬何を言われたのか俺は理解出来なかった、世界会議が終わって帰りがてら日本と話そう、欲を出せばこの後飲みに誘いたいと思っていたけれど日本の前では極端に口下手になる俺は毎回そう意気込んで話すものの今まで成功した事は一度も無い、それに日本には友達が多く俺が誘いをかける前に他の奴らに日本は誘われて一切帰りに話さず会場を後にする事だって何度もあった今日ももしかしてそのパターンかもな、と諦め半分で日本が会場にまだ居ないかと探している俺にかけられた言葉がそれだ、後ろから声をかけられたから相手の顔を見てる訳じゃない、でも声で誰が俺に話し掛けたのかは十分に分かる、日本の声を俺が聞き間違える筈がない、でも言われた内容はその日本が言ったとは到底思えないような内容だ、だっていきなり服を脱げとか髭ならともかくあの常識のある日本が言う訳ない、そうだきっと髭が日本の声真似とかして俺をからかってるんだろ、そう思って振り返った俺の予想を見事に裏切って俺の後ろにはいつになく真剣な表情の日本が立っていた
「え、あ・・・日本?」
日本が俺に話かけてくれた嬉しさやら言われた内容への戸惑いが綯い交ぜになって日本に言うべき言葉が迷子になった俺は口から大した言葉が出てこなかった、そんな俺に痺れを切らしたのか勢いよく日本は俺の胸ぐらを掴んで詰め寄って来た、いつになく近い顔の距離にこんな訳のわからない状況なのにも関わらず俺の顔にかあと熱が集まる
「良いから脱げと言っているんです!!」
「なななな、日本、お前何言ってんだよ!?」
すぱーんと躊躇いもなく言ってのけた日本、やっぱりさっきの言葉は聞き間違いじゃなかったらしい、考えている間に日本はずい、とまた俺に顔を近づける
「聞こえなかったのですか、ではもう一度、服 を 脱 げ と言ったんです早くして下さい、イギリスさん、何ですか心の準備が必要ですか、なら一秒待ちましょう、一!はい待ちました早く脱いで下さい!!」
「うわああ!!!止めろよ日本、ちょ、待って!!」
「何ですか貴方、同性同士ですから恥じらう必要も無いでしょうがそれとも何私に脱がせて欲しいんですか、ああそうですかすみませんね気付かなくて」
「ぎゃああああああ!!!!ば、にほ、ちが!!!」
言うや否や一瞬で俺の上着のボタンとネクタイを外した日本はワイシャツのボタンを素早く外して行く、あまりの手際の良さに感心する前に俺は情けないと思いつつも悲鳴を上げた、こんな公共の場所でいきなり脱がされるなんてあんまりだ、これが俺の部屋だったら大歓迎だったのにといつになく近い日本の距離や日本に触れて貰った事に少しは喜びつつも戸惑いや羞恥心の方が勝って俺は衣服を剥く日本の両手を掴む、動きを中断させられた日本はギン、と鋭い眼差しで俺を睨みつける、正直怖い
「あくまで抵抗するというのなら日本刀で衣服を切り捨てますよ」
「お、おちつけ、日本」
「無理です!」
きっぱりNOと言い放った日本はべり、と俺の手を剥がし全てのワイシャツのボタンを外し終わる、日本はその後服の端を持ってバ、とそれを持ち上げ俺の腹やら背中やらあちこちを見るがその眉間の皺が伸びる事は無かった、俺はじろじろと体を見られる羞恥心でもう無性に泣きたい気分だ
「ここにないと言う事はもしかしてもっと下の方に・・・」
まだ満足いかない様子の日本がぼそりと不穏な事を呟く、視線が下半身に移動したのを見て俺はさっきまでの熱が一気に冷める、まさか・・・
「ちょっと失礼します」
「うわ!!日本お前どこに手突っ込んで!!!ッ!!!ぎやああああああああぁああ!!!!」
「ここも、違う、じゃあ、ここですかね・・・」
「バカバカ馬鹿馬鹿馬鹿あ!!!やめろよ日本ちょ、うあ!!!」
流石にズボンは脱がそうとは思わなかったらしい、けれども日本は俺のズボンの中に両手を突っ込んでさわさわとあちこち触ってきた、もう俺は涙目で叫びに叫んだけれど日本はそれを一切無視してもぞもぞと手を動かす密着している為腹の辺りに日本の髪の毛があたってくすぐったいわ腰や太もも撫でられるわで想い人からの過剰過ぎるスキンシップは俺の許容量を軽くオーバーしていて今なら日本が言う切腹したい、や鎖国したいという言葉が嫌という程理解出来る気がした
「ん?」
俺の左太もものあちこちを触っていた日本がピクリと反応する肌に何か紙のようなものが触れる感触とともに日本の表情がぱあ、と明るくなった、え、てか何でそんな所に紙が入ってるんだ?
「あった!!ありました!!」
「日本、早くしてくれよ!!もう時間来ちゃうんだぞ!!」
「すみません、引き換え券を探していたもので!!すぐ行きます!!」
「え?な?はあ?引換券!?」
「ありがとうございましたイギリスさん!!ではまた!!」
「おい!?日本、ちょっと待てよ!!」
「恐れ入りません!!!嫁が待ってるので悪しからず!!」
謎な言葉を残してアメリカに呼ばれた日本は凄まじい速さで会議室を出て行った、過ぎ去った嵐に俺は呆然と立ち尽くす
「あはははははははは!!!あー面白かった、イギリスお前良かったなあ日本にあんなに熱烈に触って貰えてさ!!」
「うるせえクソ髭笑ってんじゃねえぞこら!!」
「だってさおま、ぎゃあああ、って!!はははは!!もう最っ高だったわ!!」
「黙れ!!仕方ねえだろいきなり日本があんな・・・」
「ああ、まあ災難だったなイギリス、うんでも仕方ないわ、二次元が関わった時の日本は鬼気迫るものがあるからなあ」
「はあ?二次元?」
「やっぱり分かってなかったか、今日は日本の所で新作ゲームの発売日だったんだよ、日本も前々から発売を楽しみにしててね発売日に速攻買って徹夜でゲームするって前からアメリカと話してたんだよね」
「それが俺が脱がされた事と何か関係あるのか?」
「いててて、ちょ、足踏むなって、もうこれだから元ヤンは」
「良いからさっさと言え」
「誰の所為だよ!ああそれで日本が急いで外出ようとした時にさ手に持ってたそのゲームの引換券が風に飛ばされて落ちたんだよ、お前の服の中に」
ああ、聞いてみれば何て事は無い、何か日本に触られる度にどぎまぎしてた俺が馬鹿らしくなってきた、つまり日本のあの行動の全ては引換券の為で俺に触れている時も日本の頭は引換券でいっいだった訳か、俺は日本の事で頭がいっぱいだったのに
「にしても日本凄い必死だったなあ、慌て過ぎてお前に脱げとか言った時はお兄さん驚いちゃったけどおかげで面白いもの見れたしお腹いっぱいだわ」
「へえ、そうかよ、じゃあ」
「ちょ、え、イギリス・・・?」
「たっぷり見物料貰わないとなあ、フランス」
「え、え、またこんなオチかよちょ、ぎゃあああああああ!!!!!」
またしても悲鳴が上がる会議室、その一部始終をハンガリーと台湾が目を皿のようにして見ていた
2011.08.17
あとがき
(安心の兄ちゃんオチ、ごめんよ兄ちゃん俺、このページアップしたら兄ちゃんが報われる話書くんだ・・・、ハンガリーさんと湾ちゃん腐らせて実にすみません二人はやり取りを見ながら日英、いや英日じゃない?英仏、いやいやあれは仏英ですよとか言いながら光速でメモを取ってるんじゃないかと思います)