「なあ日本、良いだろ?」
もう何度その台詞を聞いただろう言われる度拒否しているのに目の前の男は一向に諦めようとしない
酔っ払いの相手は対処に困る、壁に体を押し付けられ逃げられないように
私の脚の間にイギリスさんのそのすらりとした長い足が入れられた上抵抗出来ない
ように両手はイギリスさんの片手によって頭上に纏められている、密着している相手の体から伝わる熱
で私の体も火照ってたまらない薄ら汗もかいているようだ、というより早く離れて欲しい
こっちにまで酔いが伝染したかのように頭がクラクラしてきた
「駄目です、きっと後で後悔されますよ」
彼も酒癖の異常な悪さを除けば良い友人なのにと本当に思う、酒癖が悪いのは各国から聞いて知っていたが実害に
合ったのはこれが初めてだ、さっきからイギリスさんが執拗に私にねだっているのは口付けで、
私はまあ例えそれをされても犬に噛まれたと思って水に流す事は出来るが彼はどうだろか、
繊細な所のあるイギリスさんの事だ酷く後悔するに違いない部屋の隅にうずくまって、しにたい、とぶつぶつ呟く彼の姿が私には容易
に想像出来る、彼の精神衛生上ここは断固として流されるわけにはいかない、私は再度決心し
イギリスさんから離れようと彼だに力を込めた
「逃がさねえよ」
横から体を滑らせ何とか抜け出そうとしたが動きを察知したイギリスさんに強引に腰のあたりに腕を回され
抱き寄せられる両手を封じられ胴体をがっちり固定されて身動きが取れない、あ、もしかしてこれ詰みました?
自分の体を抱きしめる腕の強さにそう悟らざるを得ない、先程の拘束の時とは明らかに強さが違う
もしかしてさっきまでは手加減されていたのかもしれない、だらだらと冷や汗が背中を流れる
「日本・・・」
切なげに呼ばれてイギリスさんの端正な顔がどんどん近づいてくる、不味いこのままでは・・・
考えても先程飲んだアルコール類の所為でただでさえ正常に機能しない頭と私を混乱させるには
充分すぎる状況の二段攻撃で最早まともな考えなど浮かんで来ない、長年生きてきたのにこの体たらく
情けないとは思いつつも状況が状況なので仕方ないですよねと言い訳をしているうちに
イギリスさんと私の顔の距離は残り数センチ程度だイギリスさんは自然に瞳を閉じて唇と唇が
重なるように顔の角度を傾ける、それが触れるか触れないかの所で私は出来る限り頭を後ろに引いて
それを避けた、重ならない唇を不思議に思ったのかイギリスさんが目を開ける、限界まで頭を後ろに
引く私の姿を確認するや否や両手を拘束していた手を離してイギリスさんは私の後頭部に手を回し強引に唇
を重ねた
「ッ!!」
触れ合った瞬間私の体がびくりと跳ねた、ああやってしまいました、
すみませんイギリスさんでも私これでも一応頑張ったんですよ、と心中で言い訳する
、心の一部は冷静なのに後の大部分は混乱していて私は解放された両手を使ってイギリスさんを
突き飛ばす事が出来るとその時は欠片も思わなかった、何度も角度を変えて与えられるそれに
次第に体の熱が上がっていく、恥ずかしい早く終わらせて欲しい、そんな事を考えていると
イギリスさんは何を思ったのか私の唇をぬるりとした舌で舐めた、驚いて声を上げようと開いた口
の隙間からすかさずイギリスさんの舌がするりと入って来て私は声にならない悲鳴を上げた、キスさせろ
と言っていたけれど精々口にすれば満足して止めるだろうと思っていたまさかこんな深い方をされるなんて
誰が思うだろうか、イギリスさんの舌が私の舌に絡みついて来て、部屋にくちゅり、と高い水音が響いて
私は猛烈な羞恥心に襲われるもうだめだ鎖国したい
それからイギリスさんは散々口内を荒らした挙句私の体を床に押し倒した所ですうすうと気持ちよさそうに
寝息を立てた力の抜けた体は当然私の体の上に重なっている訳で体格差も相まって身動きが取れない私は
早々にイギリスさんから抜け出す事を諦めて襲ってくる眠気と闘わず素直に白旗を振り覆いかぶさられた状況のまま寝る事にした、
もう私疲れましたよ、ポチくん・・・そう考えたのを最後に私は意識を綺麗に飛ばした
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「ん・・・あー頭いてえ・・・」
目覚めて第一に考えたのはそれだった、昨日は日本が俺の家に来てくれた事に浮かれて思わず
普段酔って自分の酒癖の悪さを見せるのを恐れて日本の前であまり飲まなかった酒をついつい
飲んでしまったのがいけなかった、酒飲んで良い気分になってそれから・・・考えた所で俺は
ザ、と自分の血液が体から引いていくのを感じた、良い気分になったその後俺は日本に、普段
酔った後の事はあまり覚えていないけど今回は何故か鮮明に覚えている、俺は、俺は日本に迫って
それから強引にその唇を・・・やばい不味いどうすんだこれ洒落になんねえ、あのヘタレパスタにハグされた
だけで錯乱した日本にキスだなんてこれ絶対俺嫌われたよな、そうだよな・・・しかも意中の相手に
無理矢理キスしたとか紳士にあるまじき行為だ、はは、もうしにたい、目覚めてそうそうテンションが地の底に
まで落ち込んだ所で俺はやっと自分の下にあるはずの床が妙に柔らかい事に気付いた、そっと下を見てみれば
そこには・・・
「に、ににににに日本ーーー!?!?」
その後目覚めた日本にイギリスが瞳に涙を浮かべながら何回も
大変紳士的なジャパニーズドゲザをしていたのは妖精達だけが知っている
2011.08.17
あとがき
(パブったイギリスに押される祖国が書きたくて出来た文でした、出来れば今度は酔っぱらった祖国に押されて戸惑うイギリスを書いてみたいです)