「胸糞悪いんだよ東洋の猿がいちいちその面見せに来てんじゃねえ」
「だれが好き好んでこんな豚臭い所に来るものか自意識過剰なのも大概にしろ下衆が」
「んだとこの狸爺、そんなに鉛玉が欲しいなら今すぐくれてやろうか?この俺直々にぶちこんでやるよ光栄に思え」
「これだから若造は、毎回毎回それしか能が無いのかすぐに戦いに持ち込みたがるその短絡的な考えは驚嘆に値しますよ」
「ああそうか、爺だからヤりあう気力も体力も無かったか悪かったな、尻尾巻いて逃げ帰るなら出口はあそこだぜ」
「随分とまあ安い挑発ですね、その可哀想な頭を絞ってもその程度の言葉しか出てこないなんて本当に気の毒だこと」
「そうやってはぐらかして逃げ帰る自分を正当化するつもりかよ腰抜け」
大英帝国は腰に下げたホルスターから銃を抜き踵を返す大日本帝国の頭を狙い銃弾を発射する、だが大日本帝国はそれを物ともせず後ろ向きのまま日本刀を使い銃弾を叩き斬って見せた
「口の減らない餓鬼が、そんなにその身に刀傷増やしたいのなら最初からそう言えば良いものを」
「なまくらにんな事出来んのかよ?」
「その身で味わえ」
日帝が対談の為英帝の元へ訪れて数分罵り合いは獲物を交えての戦闘に発展する、互いに相手には勿論のこと建物や備品にも一切容赦が無い為次々と部屋の中の物が壊れて行く特に英帝の部屋ではガラス・陶器製の物が多かった為床に敷かれた豪奢な紅い絨毯の上は破片で埋め尽くされていく、騒ぎに気付いても止めれる者がおらず争いは不仲な二人を心配した英国の上司が様子を見に来るまで延々と続けられた、その頃には部屋はもう見るも無残な状態でドレープがたっぷりとあるカーテンは布切れにオークで出来た執務机は木片に棚に入っていた王室の焼き印の入った陶器の数々は粉々に砕け、部屋を彩っていた花瓶は跡形もなく全て同様に切り裂かれた絨毯の上に瓦礫と化して散在しているその上で両手をだらりと垂らして相手に蹴りを入れる大英帝国と壁に背を預け手でそれを受け止める大日本帝国が上司が最初に見た光景だった
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お互いが居ない所では大日本帝国も大英帝国も礼儀正しく外交向きの顔で仕事をこなす事が出来るのだが二人だけにするとたちまち刀と銃が飛び出す事になる、国民も上司も別段仲が悪い訳では無い、大日本帝国は英国の上司と大英帝国は日本の上司と仲良くやっていけるというのに二人の仲だけは最悪だった、二人が獲物を交えて散々争うのを上司が仲裁した後日帝は何故かそこから動こうとしなかったし英帝はずっと両腕をだらりと垂らしたままだったのを不審に思った上司が見てみればお互い喧嘩した所為で日帝は両足を、英帝は両腕を見事に骨折していた、国は人と体の構造が違う為怪我は余程の事で無い限りはしない、それなのに二人はお互い足と腕が使いものにならない位の怪我を負ったのだ、一体どれほどの力を加えればこうなるのかと問いたかったが彼らが本気で争ったのならば別段不思議な事では無かった、二人を病院に送り込み治療を受けさせている間話を聞き付け英国に飛んで来た日本の上司と英国の上司はお互い疲れた顔をして話し始めた、お互い相手と仲良くするように歩み寄るようにと口を酸っぱくして言って来たにも関わらずこの結果だ、これは互いに肩を落とすしかない、けれどこのままでは碌に執務も行えないそれは困ると上司たちは頭をひねり今後の打開策を考え始めた、紆余曲折を経て考えに考えた末思いついたのは日帝、英帝が怪我をして争えない状態を考慮し怪我をしのたは互いの所為であるのでその責任を両者に取らせるというものだ、具体的には丁度今英国に日帝が居るのだから英帝の屋敷に二人で怪我が治るまで生活させ、お互いが不自由な点は互いに補い合いながら生活させる、屋敷の整備等はメイドや執事達がするが二人の生活に関わる事は自分達でしなければならないのが条件だ、生活を共にすれば流石に険悪な仲も改善とまではいかないが少しでも好転するに違いない、そう考えた上司は早速日帝、英帝にその事を告げる
「嫌です」
「断る」
こういう時だけは気が合うのか即座に拒否した日帝、英帝だったがそんなもの百も承知という風に上司はその意見を無視して治療して両足にギプスをはめ松葉杖を付いた日帝と両手にギプスをはめた固定した英帝を屋敷に送り帰って行った、屋敷の者には二人の世話をするなとあらかじめ伝えられているのでお互いの世話はお互いでするしかない、かくして二人の共同生活は始まりを告げたのであった
2011.08.19
あとがき
(続きます、ちなみに無茶苦茶になったダイエーの部屋を元通りにする為の費用は喧嘩した二人のお小遣いから仲良く引かれました、喧嘩両成敗。)