Bow wow!

「アハハハハハ!!待てよ日本!!」
「善処します!!」

私の家に遊びに来たイギリスさんを晩御飯に招待したのは間違いだったかもしれないと 私は思った、そしてこんな事になるなら晩御飯の時お酒も出すべきではなかったと頭の片隅で考える、酔っぱらったイギリスさんは今下着以外なにも付けていない状態で酒瓶片手に私の事を追いかけまわしている、イギリスさんに捕まった後何をされるのか分からないので私は必死に捕まるまいと今ではあまり使う事の無い忍術まで駆使してイギリスさんから逃げる

「あれ?日本ーどこ行ったんだー?」

追いかけ回されるのは好きではないので早々に私は屋根裏に隠れさせて貰う事にした、これでイギリスさんが諦めて眠りに就いて下されば言う事は無いんですが

「きゃうん!」

かわいらしい愛犬の声が聞こえたので屋根裏から天井の四角い板を外して下の様子を見ると ポチくんがイギリスさんの方にととととと、と近づいている所だった、ポチくんとイギリスさんは出会った当初から仲が良く私の家に遊びに来る度イギリスさんはいつもポチくんと遊んだり時々は二人で散歩に出掛けたりもしている、イギリスさんの声に反応してポチくんはやって来たようだがいつもと違うその様子にイギリスさんの手前で近寄るか近寄るまいか決めあぐねているようだ、困った様にきゅうんと鳴くポチくん、飼い犬という事を差し引いてもとてもかわいらしいその仕草に思わず私は状況を忘れて身悶えした

「ポチ・・・お前は俺から逃げたりしないよなあ」

ユラリ、と酒臭い息を吐きながらイギリスさんがポチくんに詰め寄る、身の危険を察知したポチくんはとてててて、とイギリスさんから離れるように走り出す、だが逃げられたら追いたくなるのは性なのかイギリスさんはポチくんをすかさず追いかけ回す

「待て待てポチ、一緒に不思議の扉を開けようぜ!!!」
「きゃん!きゃわん!」

うへへへへと気味の悪い笑い声をあげながらイギリスさんは走り回る、追いかけられる愛犬をこのまま見続けているなんて私には出来ない天井裏から抜け出て素早く床に着地し私はイギリスさんの方へ走る、私を見つけたイギリスさんは途端ポチくんを追いかけ回すのを止めイギリスさんの元へと走る私に何を勘違いしたのか両手を大きく広げて、俺の胸はここだぞ日本!と叫んだ、正直手荒な真似はしたくなかったのですが仕方ないこのままでは私もポチくんも危険です、ごめんなさいねイギリスさんと心の中で謝って私は思いっきり腕を振り上げ

「天誅!!」

その後イギリスさんは朝まで目覚める事はありませんでした





**********





「ん、あ、あれ俺・・・?」
「おはようございます、イギリスさん」
「おはよう日本、あ、痛ッ!!」

あの後私は白目をむいたイギリスさんに服を着せ客間までずるずると引きづって運び布団を敷きその上にイギリスさんを寝かせたので今イギリスさんは布団の中だ、イギリスさんは目を覚まし上体を起こした所で声を上げ頭を押さえた

「昨日かなり飲んでいらっしゃいましたからね、二日酔いでしょう」
「あーすまない日本、ここまで運んでくれたのお前だよな、俺昨日の事何も覚えてないんだけど俺何か変な事とかしなかったか?」

ええ、いきなり服を脱ぎ出して下着姿になった後私を追いかけ回した挙句の果てにポチくんまで追いかけ回していましたよ

「ええ、酔った後はすぐに寝てしまわれたので何もありませんでしたよ」
「そ、そうかなら良かった、べ、別にお前に迷惑かけたかどうか心配だったわけじゃないんだからな!」

流石に真実を言うわけにはいかない、言ってしまえばまた部屋の隅でイギリスさんが小さくなっていじけてしまうのが目に見えるお決まりのセリフに私は苦笑いしながらふと部屋の入り口、障子の奥の庭を見るとポチくんがそこにちょこん、と座っている、イギリスさんもそれが見えたらしく

「お、ポチこっちに来いよ!」

いつもの調子でポチくんを呼んだ、これが常ならポチくんはきゃわん!とかわいらしく返事をしてイギリスさんの元に走って来るのだが今日は

「ウーーガウ!!」

低く唸り威嚇するようにイギリスさんに向かって吠えた
この行動に私は目を丸くするポチくんは基本大人しい犬らしくない犬で滅多にというか今まで一度もこんな鳴き声を発する事は無かったのに、昨日のイギリスさんの行動で本能的に危機を感じてもしかして野性の血が目覚めてしまったのだろうか、考えている私の横でイギリスさんは何故か涙目になっている変な所で繊細な彼の事だ今までいつだってかわいらしかったポチくんが豹変した事が堪えたのだろう

「に、日本、ぽ、ポチくんがポチくんが犬になっちまった!!!」
「ポチくんは元々犬ですよ」

この方はポチくんの事を今まで何と思っていたんでしょうね、その後イギリスさんに俺絶対何かやったんだろ!?なあ俺一体何したんだ!?と散々詰め寄られたのはまた別のお話。 




2011.08.17





あとがき
(ポチくんに吠えられてショックを受ける英を書きたくて出来た話でした、イギリスはポチくんの事を犬みたいな妖精だなー、と思ってたんだと思います)