とある帝国の消失

※botの三次創作で消失ネタ注意!
各bot及び関係者様とは一切関係ありません















首元のスカーフをエメラルドのブローチで止め豪奢な紅いコートを羽織った男は冷たく美しいその顔を歪めて銃弾を放つ黒に金をあしらった軍服に濃紺のマントを纏った品の良い顔立ちが美しい男は平常ならそれを難無く避けてみせるが今回ばかりはそれをせず撃たれた体で猛然と日本刀を煌めかせ相手に襲いかかる、その血の様に紅い瞳がいつになく爛爛と輝いているのを見て男――大英帝国はさらに笑みを深める、血沸き肉躍る、相手――大日本帝国と獲物を交える時は常に無い高揚感に駆られたが今日この時は今までのそれが生温く思える程血が滾って仕方ない、本能に任せて相手の命を奪おうと息もつかせぬ猛攻を繰り返していると己が獣にでもなったように錯覚する、そうだこれで良い、もう何もいらないこの己の体も命も誇りもくれてやるだがお前だけは、長い間雌雄を決する為お互い命を削り合ってきた、お前だけは殺させろ、お前を殺したその一瞬で己の魂が満たされる、その後自分がどうなろうが一向に構わない、大英帝国の瞳を見ただけで全てを理解した大日本帝国は笑みを深くした、最後の最後までお互い同じ事を考えているなんて、なんて皮肉な事だろう、だがそれでこそ我が宿敵、大英帝国と大日本帝国の両者はその一瞬の魂の充足の為に今戦っていた、それを邪魔する者等居ない束縛から解き放たれた彼らは二人きりで戦い続ける、その二人に迫るように空間が崩壊を始めるが二人は見向きもせずその瞳には相手しか映さない

残り30秒
空間に浮かぶタイマーの数値は容赦なく減り続ける

「「あああああああああああ!!!」」

獣のように両者は叫び襲いかかる、いつもの理性に制御された表情は崩れ去り純粋な本能に彩られたそれは脳味噌を沸騰させるような狂気を感じさせた

20秒

相手に撃たれようが切られようが我が身を省みない攻撃は体に容赦なく深い爪痕を残していく、相手が己の体に一太刀入れる間に自分は2発、一発体に撃ち込まれる間に二太刀切れば良い、両者の考えは同じだった、血を流し死ぬほどの痛みが襲っても両者の攻撃は緩まない相手の命に届く様にひたすら貪欲に攻撃を続ける

10秒

両者が駆け寄り大英帝国が銃とは別のカットラスを握る手を前に突き出したのと大日本帝国が日本刀を両手で握り突き出したのは同じだった、お互いの獲物は両方の心臓を一突きし大英帝国と大日本帝国は理性の戻った表情になる、白い空間を黒く塗り潰していく崩壊は遂に彼を飲み込んで足元から二人は粒子となり分解されていく

5

「決着、つかなかったな・・・」

4

「本当に、癪、ですが」

3

「続きは、また、今度、だな」

2

「・・・ええ」

1

「では、また来世で」

0



















































「イギリスさんもその夢を?」
「え、じゃあお前もか」
「ええ、何だか不思議な夢でしたね」
「そうだな・・・」

会議終了後二人は廊下を歩きながら互いが見ていた夢について話していた、その内容は偶然なのか 二人とも同じだったらしいイギリスが物思いにふけるように言葉を切った後日本が口を開く

「ですが私はあれが夢だとはどうしても思えないんです」
「それは俺も同じだ」
「イギリスさんも?」
「ああ、夢にしては妙に感触が生生しかったし」

自分の手を閉じたり開いたりしながらイギリスは呟く

「本当に起こった事だったりしてな、ここじゃない別の世界とかでさ」
「平行世界、ですか?」
「そう、それだ」

日本はその言葉に僅かに目を細め廊下の窓から見える空を仰ぐ

「だとすれば・・・二人はもう生まれ変わっているかもしれませんね」

それが夢の中で日本とよく似た男の、来世でという言葉によるものだとイギリスはすぐに分かった、 瞳を閉じ再び目蓋を開くと日本と同じように空を仰ぐ

「そうだな、きっと生まれ変わってるさ・・・二人共執念深そうだったから同じ時代に生まれて再開もしてたりしてな」
「あらあらそれはまた運命的ですね」

くすりと笑った日本は右にイギリスは左へ向きを変えるとお互い微笑み合う

「それでは私はこちらなので」
「ああ、じゃあな日本」
「ええ、お疲れ様でした」

型に嵌った挨拶をして二人はそれぞれの道を歩く

「御機嫌よう、大英帝国」
「またな、大日本帝国」

ぼそりと互いが呟いた言葉は伝えたい相手の耳には届かずに空気に溶けていった





2011.08.29





あとがき
(真実は本人のみぞ知る)